革製品はタフに使用していても破損し難い上に長年にわたって愛用し続けていても劣化してしまうどころか、より一層風合いが増して良い雰囲気になる様子から愛用者が多いです。
ただし、無頓着に扱っていても良い風合いに仕上げられるようにはならず、長持ちさせたい気持ちをしっかりと持って適切なケアを施さなければなりません。
そのため、鞄・バッグ・財布を手に入れたらタフに使用しつつも日頃から製品に対してよく目を向けるようにし、表面上に埃や汚れが付着しているのならその都度行うメンテナンスが大事です。
革製品に用いられている革は既に製品に使用されている状態であっても酸素を取り込み呼吸をしているため、表面上に埃や汚れが付着してしまうと酸素が取り込めなくなるので良い雰囲気にしながら育てていく事ができなくなってしまいます。
そのため、表面に埃や汚れが付着している様子が感じられたらブラッシングを行い払ってあげる事で革が呼吸できるようになるのですが、ポイントになるのはブラッシングに際して使用するブラシの毛質や毛の種類などであり、毛質や毛の種類を拘る事により同じようにブラッシングを施しても異なる結果になります。
最も良いのは柔らかい馬の毛や豚の毛を使用したブラシを2つ用意し、光沢感を出す目的や革のケアという目的で使い分けをする事です。
同じく使い分けをすべきなのが最も汚れている状態から使用するブラシと仕上げで使用する物を区別する事であり、初期段階から仕上げに至るまで同じ物で行ってしまうと毛に絡みついている汚れにより美しく仕上げる事ができないので、最初に用いる物と仕上げに用いる物は区別するのが大切です。
ブラシをかけるだけであればたとえ忙しい時でも難なく行う事ができるので負担にはならないため、できるだけ高い頻度で行うようにし、そうした細かなケアをしつつ定期的にじっくりと鞄・バッグ・財布に向き合って入念なケアを施していく事も重要です。
湿度が低くなったり、摩擦を受けると人間の肌の表皮に皮脂が不足した印象になるのと同様に、革製品も有している油分が少なくなってしまうとひび割れなどの症状が見られます。
人体の表皮とは違い自然治癒力は持っていないので、一度ひび割れてしまうと修復させる事ができないため、ひび割れを引き起こさないようにオイルを使用したメンテナンスも大事です。
オイルを使用したメンテナンス方法の実例はまず、普段行っている最低限のケアであるブラッシングを施して不純物を取り去った後、できるだけ装飾品を外したり鞄・バッグ・財布の中に収納されている物を外に出して購入した時と同じ状態にします。
続いて用意したオイルを塗布していくのですが、説明書やパッケージなどには古い布やTシャツにオイルを取って塗布していくように説明されている事例が多いものの、できれば直接指に取って塗り拡げていくようにすべきです。
その理由は直接指に取って塗り拡げていくようにすると、自身の体温によりオイルが溶け出し柔軟な様子に変化するので扱いやすくなるという恩恵に授かれるためです。
オイルを塗布した後はできれば一晩そのままの状態で放置しておき、翌日以降に浸透せずに余ってしまった分のオイルを全体に馴染ませるような要領でブラシをかけていきます。
こうした日頃のブラッシングと定期的なオイルの塗布を繰り返していれば、トラブルに見舞われる事無く鞄・バッグ・財布が美しく風合いが高くなっていくのですが、常に屋外で使うアイテムだからこそ見舞われるのが風雨に晒されてしまう事です。
特に近年では突如として豪雨に見舞われる機会も増えてきているので大切なアイテムが水に濡れてしまったという経験をしている方も増えているのですが、革製品にとって水というのは大敵なので雨に濡れてしまった時は後回しにせずすぐに対処しなければなりません。
すぐに対処せずに放置してしまうと付着した水分によりカビに悩まされたり、シミになり取れなくなってしまう事もあるため著しく劣化が進行してしまいます。
そこで、雨に濡れた時にセオリーになるのは可能な限り迅速かつ正しいメンテナンスが大事になるという事であり、一見元通りに見えていても実は中がまだ湿気を帯びていて水玉模様になってしまう事もあるので、じっくりとケアを施していきましょう。
雨に濡れてしまった時のメンテナンス方法の実例は一切水分を含んでいない乾燥状態の布を用意し、たとえ表面に水滴が付いているようには見えなくても全体と細部に至るまで拭いていきます。
そして、乾燥させるために乾かす時には無造作に鞄・バッグ・財布を置くのではなく型崩れを生じさせないために形状を整えつつ、風の通りが良好な所で陰干しをしましょう。
さらに革の鞄・バッグ・財布はたとえ水に濡れていなくても保管方法や保管状態によっては同様にカビが生じる恐れがあるため、クローゼットの中に除湿剤を入れたり使用しなくても定期的に取り出して外気を浴びせるようにするメンテナンスが大事です。