革製品の基本的な手入れの仕方
より長く、大切に使い続けてもらえるよう、手入れや保管方法、トラブル対応などについてお話させて頂きます。
革とは?
一言に「革」と言っても、牛・豚・羊・ワニ・ヘビ・馬などたくさんの種類があります。
また、はじめは「皮膚」の状態であった皮を製品化するために加工することで「革」となります。
革製品は使い続けていると「光沢や味がでる」というイメージがありますでしょうか?
これは「ヌメ革」といって、人工的な染色を仕上げないように「革」としたものです。ナチュラルな革といえます。もちろん違う革もあります。
種類や皮から革への加工方法、バッグなどへの製品にした際の加工方法により、手入れ方法は異なってきますが、「革の基本」として以下の3つは重要です。
革は 高温 ・ 多湿 ・ 汚れ を嫌います!
ポイントを抑えたところで手入れの仕方を説明していきます。
普段の手入れと心がけ
どんな革でも基本は同じです。
日頃のメンテナンス
乾拭きとブラッシング!!これが一番大事で基本中の基本となります。
できれば使った日は乾拭きとブラッシングをしてあげて下さい。可愛がってあげて欲しいです。革を傷つけないように優しくお願いします。
実はこれだけでも十分長持ちします!!忙しくても月1回はお願いしたいです。
なぜなら、革には毛穴が当然あり、そこに汚れがたまります。放っておくと、水分を溜め込んでカビやシミの原因を作るからです。見た目は変わらないように感じますが、非常に大事なことなんです。
布は綿などの天然素材のものを使うといいです。メガネ拭きでも大丈夫ですが、化学繊維製のものは避けましょう。もしなければ肌着で綿素材のものを乾拭き用に使ってもいいかもしれません。
バッグの場合はブラシは馬毛などの柔らかいものをお勧めします。革の種類等によりますが、バッグに靴用の硬いものだとデリケートな革だと傷ついてしまいます。
クリームについて
革にも人間の肌と同じでほどよい保湿が必要です。
クリームはかさついてきた革に潤いを与え、革を長持ちさせるものです。
長年使っていると、どうしてもカサカサになってきて、ヒビ割れ等の原因にもなります。
ただし、付けすぎてもいけませんし、頻度が高すぎてもよくありません。クリームには水分も含まれるため、付けすぎると逆に光沢が失われたり、ベタベタになることがあるのでご注意下さい。
クリーナーやクリームについてはいくつか種類があります。通常はデリケートクリームで十分ですが、コードバンなど水に強くないものは水分量の少ない専用クリームもあります。また、靴は汚れを落とす成分が強かったりするこので、靴とバッグなどの革製品用クリームは別で考えて頂いた方が安全です。
クリームの塗り方
かさついてくる手前ぐらいに塗るのがちょうどいいです。月1回でもいいです。
- 乾拭きとブラッシングできれいにします。
汚れが残っている状態でクリームをつけると毛穴の汚れに栄養を与えることになり、かえってカビなどの原因になりますので、必ずきれいにしてからやりましょう。 - クロスなどの布につけて、かるく浸透させていきます。
- 塗り終わったら乾くまで待ちましょう。
- 乾いたら布で乾拭きで拭き取って下さい。
注意点
ブランドや製品の加工方法によっては、クリームと化学反応を起こし、劣化につながることもあります。全体に塗る前に必ず目立たないところで、ためし塗りをすることを強くお勧め致します。大切なものをメンテナンスで傷つけるのはナンセンスですので。
保管方法について
普段使いの鞄の保管
休日は中身を出して、革を休ませましょう。
鞄の中に、丸めた新聞紙やタオルをいれておくと湿気取りと型崩れ防止になります。
長期の保管
日本は湿度が高いです。カビの原因になるので、できるだけ湿気の少ないところに保管して下さい。水回りは避けましょう。
そして、保管時には乾拭きとブラッシングは必ず!やりましょう。保管方法や場所がよくても、もとからカビの菌がついていたらどうしようもありませんので。
保管時は中身を出して、丸めた新聞紙やタオルを詰めます。長期保管の場合、新聞紙の印字がつかないか心配になる方は、新聞紙をタオルや布で巻いて詰めれば大丈夫です。
さらに、不織布の袋にいれて保管しましょう。よく、買った時についている厚めの袋に入れて保管されている方がいますが、通気性が良くないとこれもカビの原因となります。不織布は100円ショップでも売っていたりします。ビニール素材などはさけましょう。
可能であれば時々、袋から出して風通しのよい日陰でリフレッシュを。
外側や内側に除湿剤を入れておくと安心です。押入れなどに入れている場合、除湿剤よりも晴れた感想した日に一日開けっ放しにして扇風機で換気しちゃう手もあるようです。
シャネルやエルメスなどで立て掛けて保管するよう説明書に書いてありますが、立て掛けだとビジネスバッグなどはだいたい型崩れします。製品によるのですが、経験上シャネルでも長年置いておくと型崩れしてきます。横置きがいい場合もありますので、製品を見て判断して下さい。
注意点
防虫剤や乾燥剤は、変質を起こすことがあるので、入れる場合は製品に直接触れないよう、別の袋に入れるようにしましょう。
トラブル時の対応
使っているとどうしても傷がついたり、雨に濡れてシミに・・なんてこともあると思います。いざという時に間違った対応をして悪化しないよう、基本的な対応方法について説明していきます。
雨や水でのシミになりそうな場合
冒頭に説明しておりますが、革は「高温」が嫌いです。雨や水で濡れて色が変わり、シミになるのではないかと思っても、決してドライヤーなどで熱して乾かすことだけは避けて下さい。直射日光もダメです。また、濡れてから一刻も早く処置することでシミになってしまうのを避けられます。
〈対処法〉
基本的なヌメ革での一般的な対処となります。
- 濡れている箇所と同じぐらいその周り全体を布やスポンジ等で濡らせます。
やさしく染み込ます感じです。強く拭くと、色落ちや傷になりますので注意して下さい。 - 乾いたタオルなどでポンポンと軽く叩く感じで水分を取ります。
- 陰干しで乾燥させます。風通しが良いといいです。
- 無事乾き、少しシワシワになっていたら適宜クリームで保湿してやって下さい。
手垢などの軽度な汚れを落としたい場合
ヌメ革用の消しゴムなどがありますので、それでやさしく落とすことができます。
あくまでも軽くこする形で、強すぎると色落ちや傷になりますのでご注意下さい。
小傷を隠したい場合
原則、革についた傷は治すことができません。残念ながら再生することはないんです。
細かい傷であれば、水拭きやクリームでも目立たなくなります。
水拭きについては、雨でのシミ防止の時と同じ作業となります。あくまでも軽く濡らした布で周りと傷口がなじむようにしてみて下さい。やりすぎては革が痛むだけなので、直らない傷については、個人でリペアするのは限界がありますので、ご注意下さい。